2012年1月8日日曜日

観光客ズレのはなし。

前回のブログに匿名さんからコメントいただき、思い出したことがありますので紹介させていただきます。




私が小学校に入ったくらいだったでしょうか、富士山周辺にある白い絹糸が幾筋も垂れているように見える有名な某滝に連れていってもらったことがあります。

それは見事な滝で子供心にいいところだなぁ、と思ったことをはっきりと覚えています。


そして、それなりに多くの旅行も経験した大人になった後で再びこの滝を訪れたときのはなしです。


滝へ続く道の脇に建つあるお土産屋さんの店先で、オバちゃんが観光客をしきりに呼びとめていました。

何をやっていたのかというと、蓋の無い箱に砂が入っていて、この砂の中にもしもダイヤモンド(もちろんオモチャのですが)が入っていたらあなたはラッキー。ダイヤモンド差し上げます!という余興を行っていたのでした。
前を通ると「アラお兄さんも是非やってってくださいな。」と言われたかどーかは忘れましたが、私も結構強引にやらされてしまいました。

箱を持っているのはおそらく旦那さんでしょう、腹黒いマギー司郎のような胡散臭そーなおっさんでしたが砂をかき分けかき分け、「あー、今回は無いですかねえ。」などと言って、フーン、ないのか、と思っていたら、最後の最後に手品のように砂の中からダイヤモンドがひょっこり出てきたのでした。

「ありましたー!おめでとうございます!!」などと言われて気を良くしていると、「それではこれをネックレスにしますので、1000円になります。」と、のたまいやがりました。私はもちろん、「は!?じゃあいらないです。」といいました。その後も何かしつこく言ってきたような気もしますがそのオバさんは不満まるだしの顔でじゃ行きなという素振りを見せました。私は腹が立ったので「は!?ダイヤモンドは?」といって憎々しげな顔をしているオバさん、おっさんから貰えるはずのそのなんちゃってダイヤモンドをぶんどってやりました。今思うと目の前でポイッと捨ててやればよかったと思いますが、その時は一応ポケットにしまいスタスタと先へ進んだのでした。


その後で近くを歩いていた若者グループのひとりが肩を落としながら、「ネックレス買わされちゃったよー。」などと話しているのも聞きました。


もう10年位前の話なので流石にもうこんなことはやってないでしょうが、『観光地の腐敗ここに極まれり、だな。』とその時思ったことをよく覚えています。観光客がお金にしか見えない、というか。





海外の観光地でも、とにかく何とかして観光客から少しでもたくさんお金を絞り取ってやろうと待ち構えている輩はもちろん大勢います。そういった輩との対決も旅の醍醐味のひとつであると言えなくもないですが、やはり鬱陶しいものですし、日本人としては日本でもそんなことをやっているのは恥ずかしくなります。

さらに恐いことは、そういったトラブルはその観光地の印象に直結してしまうことです。いくら阿蘇が素晴らしくても、何かひとつ不愉快な出来事があると、阿蘇の印象そのものが悪くなってしまいます。結果その人はもう阿蘇はいいや、二度と来ることはないな、と思ってしまうでしょう。

阿蘇に食べさせてもらっている私達としましては由々しき事態です。



観光地に住む正しい(と私が思う)心構えは『どーでい、オイラたちの○○は。スゲーだろ。まあとにかくゆっくり楽しんでくんな。』と、このように江戸っ子風でなくてもいいですが、まあそんな感じがいいんじゃないかと思ってます。私もそんな気持ちでゲストさんたちを迎えています。その気持ちの一枚下の部分で、(そんでもって、ウチに泊まってくれたらすごくうれしいんだけどなぁ。連泊とかしてくれたらさらにうれしいんだけどなぁ。)と、これはこころの中で秘かにつぶやいています。



いくら阿蘇がその滝に比べてはるかにスケールの大きな観光地だとしても、観光客のみなさんに1回来て「まあも―いいや。」とばかり思わせていたらよくて現状維持、基本ジリ貧です。『世界の阿蘇』のポテンシャルは今よりもっともっと大きいと私自身は考えています。

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