夕刻の草千里、夕日に照らされた噴煙を望みながらタバコをふかしている2人。
----------------------
A作「風が気持ちいいな。」
B吉「んだな。」
A作「噴火、こっから見たかったな。」
B吉「んだな。」
A作「…なあ、知ってっけ?」
B吉「ん?」
A作「…くまモンって、3ヶ月に1回しか風呂入んねえんだって。」
B吉「も、モァズィか!?臭くなんねか?」
A作「ケモノ臭はそれなりにするらしいけんど、3日に一度はマネージャーが全身にファブリーズかけるからOKなんだとさ。」
B吉「モァズィけ。んだら、除菌消臭ばっちしだべな。てか、くまモンにマネージャーおるんけ。」
A作「バッカかおめぇ。マネージャーなしであの殺人的なスケジュールを管理できるとでも思ってんのけ?平均睡眠時間なんて3時間だべ。」
B吉「3時間!?モァズィか!」
A作「しかも5年前にブレイクしてから未だに一度も冬眠してねーんだと。」
B吉「モァズィか!クマが冬眠せんでいいんけ?」
A作「いいわけねえべな!一時期はストレスで心療科に毎日通ってたんさ。」
B吉「今はもういいんけ?」
A作「ああ、薬は今でも大量に飲んでるっつー話だけどな。あとな、家庭環境もかなり複雑なんだと。」
B吉「複雑?」
A作「親父が飲んだくれのプレイボーイで、異母兄弟が分かってるだけで14頭。」
B吉「モァズィけ!」
A作「妹のひとりはすでに子供5頭のバツ3だし、そいつら全員寄ってたかってくまモンの仕送りに頼って生活してるんだと。んでもって本当の母親は本人にもどこに居んのかわかんねえって。」
B吉「も、モァズィか…。そりゃかなりヘビーだな。しっかしおめ、なんでそんなくまモンの個人情報知ってんさ?」
A作「“暮らしの手帖”にインタビュー載っとった。」
B吉「モァズィか。暮らしの手帖でカミングアウトするような内容じゃねえべ。」
A作「“an・an”とかよりいいんじゃね、逆に。」
B吉「んだな。逆かどうかはわかんねえけど。」
A作「なあB吉、…前からおめぇに言おうと思ってたんだけど…、おめぇの『マジ』の発音、クセあり過ぎじゃね?」
B吉「モァズィか!?」
(ゴゴゴゴゴゴ…。)
B吉「ウオッ。スゲエ勢いで煙あがってんな。アレひょっとして噴火してんじゃね。」
A作「バッカかおめぇ!噴火ってのはよ、“火”を“噴”く、と書いて噴火だべ。火ィ噴いてねーだろ。あれは“噴灰”ってもんさ。」
B吉「へぇ~、さっすがA作だべ。おめぇ昔、お習字コンクールで銀賞取ってたもんな。オレなんか生まれてこのかた“フンハイ”なんて言葉は聞いたこともねえ。」
A作「後にも先にもオレが賞取ったのはあの時だけだ。…あー、懐かしいな。あの頃は早く大人になりてえと思ってた。大人になるってことは出来ることがどんどん増えていくことだと思ってたもんな。出来ると思ってたことをひとつひとつ諦めていくことが大人になるってことだとは思いもせんかった。」
B吉「…んだな。」
A作「大人になったらアイアンマンスーツ買って空飛び回るつもりだったのによ、まーだ売り出しもしてねえもん。」
B吉「アイアンマンってそんなに昔だったっけか。」
A作「19歳の時だな。」
B吉「19歳…。確かに大人の階段はまだ登り切ってねえな。」
A作「こないだなんか東急ハンズで、『タケコプター売り場どこですか?』って店員に聞いたら『は?』とか言われて、こっちこそ『は?』と思ったもんな。だって今21世紀だぜ。あんな単純な構造の機械がなんでねえんだよ。要はヘルメットにドローンくっつけるだけだべ。」
B吉「アゴ紐で首締められねえかな。」
A作「イヤ、やってみねえと分かんねえべ。」
B吉「おめ、よっぽど空飛びてんだな。」
A作「…よし、オレ決めた。今決めた。オレ、パイロットになる!ジャンボジェット運転するべ!!」
B吉「モァズィけ!おめ、ニートやめんのけ!」
A作「来週からハローワーク通って片っぱしからパイロット募集に応募してやっぺ。俺達ももう26だし、おっとうとおっかあには迷惑ばっかかけてっからな。」
B吉「おぉ、何かオレもやる気出てきた!よっし。おめぇがやるなら俺もやる!とりあえず来週からゲームは1日4時間以上はやんね。んだけど、ハローワークにジャンボジェットのパイロット募集あっかな?」
A作「ハローワーク以上に全国展開してる仕事紹介所があっかよ。絶対あるべさ!」
B吉「…なあA作、…俺達、まだ終わってねえよな?」
A作「バカ野郎、まだ始ってもいねーよ。」
B吉「…阿蘇、来てよかったな。」
A作「んだな。」
B吉「…てか、灰、降ってるべ?ヤバくね?」
A作「バカ野郎、灰ぐらいでビビんじゃねーべ。ばあちゃんが畑に灰撒くと野菜が良く育つっつってたから大丈夫だべ!」
【終】
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿