2013年4月8日月曜日

特別な、特別な旅。

去る土曜日の晩、阿蘇ベースでは翌日の『旅する蚤の市in阿蘇』に出店されるリピーターさんや、正月にお友達と宿泊された英語の先生が今度はご両親を連れて来てくれたり、熊本のご夫妻リピーターさんが突然泊まりに来てくれたり、満室まではいかないまでもほぼ満室の賑わいを見せてくれました。そのゲストさんの一組で特別な、特別な(2回言う程)、旅行をされているご家族がご宿泊されましたので、是非ご紹介させてください。



私は初めおばあさんと息子さんご夫婦、お孫さんだとあまり深く考えずに勝手に思っていたのですが、後におばあさんとお孫さんご夫婦、ひ孫さんだと判明。ご一行の国籍は阿蘇ベースでも珍しいブラジルです。


少しお話を伺ってみると、おばあさんは実は戦前の日本人のブラジル移民で今回なんと80年ぶりの帰国だそうです。


80年…。私は耳を疑いましたね。

おばあさんは現在88歳、7歳の時に家族でブラジルに移住したそうです。その後今回まで一度も、一度も(また2回言います)祖国の土を踏んだことはありませんでした。ご自分では「日本語はもう忘れましたよ。」とは仰ってましたがそんなことは無く、不自由なく会話ができました。出身が熊本、小国で今回は子供のころに通った小学校を訪ねたり(校舎は変わったと思いますが、場所は同じところにあるようです)、血縁関係のある方がいないか探してみたりするそうです。



上の写真はお姉さんの卒業証書。


あまり詳しいお話までは聞けなかったですが、大変なご苦労もあったようです。日本の親戚、友人にいくら手紙を書いても返事が無かったのは、農場の雇い主が日本に帰らせないように手紙を全部焼いてしまったから、だとか…。

祖国である日本のことは常に胸の中にあったでしょう。今回お孫さんがそんなおばあさんの為に、おそらく最初で最後の祖国への旅をプレゼントされたのでした。



ふるさとは遠きにありて思ふもの…


80年という途方もない年月の重み、望郷の念を想い、強く胸を打たれました。




出発の日は季節外れの雪が降りました。「雪を見るのも80年ぶりですよ。」とおばあさん。阿蘇の神様の粋な計らいに違いない、と思ったのでした…。

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